つづきクリニック

刈谷市の 内科,外科,胃腸科,肛門科 つづきクリニック

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喘息
 

アレルギーによって気道が炎症を起こして狭くなり、呼吸が苦しくなる発作をくり返す疾患です。発作時には、せき、たん、ゼイゼイ、ヒューヒューという呼吸音(喘鳴・ぜんめい)、呼吸困難が起こり、息を吸うよりも吐くときのほうが苦しくなります。ダニなどのアレルギーを起こす原因物質がはっきり特定できるアトピー型と、原因物質が特定できない非アトピー型があります。

1アレルギーを起こしやすい食品や添加物

ある特定の食品がアレルギーを引き起こし、喘息の発作を起こすことがあります。とくに乳幼児に多くみられ、卵、牛乳、大豆、米、小麦、そば、エビやカニ、サバなどの背青魚が主な原因となっています。大人の場合は、そばや小麦製品が原因となることが多く、防腐剤や着色料など食品添加物でも起こる場合があります。食品が発作に繋がることは比較的少ないのですが、これらが特定される場合はアトピー型の原因になります。

2ハウスダストや花粉などのアレルギー物質

アレルギーの原因となる物質を吸い込んだり、その物質が皮膚に付着したりすることで、喘息の発作を起こすことがあります。主な原因物質は、家の中のチリやホコリ、ダニとその死骸やフン、カビ、ペットの毛や尿、スギやヒノキ、ブタクサ、ヨモギなどの花粉があります。これらもアレルギー物質を特定できるので、アトピー型の原因です。

3感染症や過労、ストレス

過労や過度のストレスを感じると、自律神経やホルモンの乱れによって気道が収縮し、喘息の発作を起こしやすくなります。溜まった疲れやストレスが引き金となって、大人になってから初めて発症するケースも増えています。またこれらの原因以外にも、風邪やインフルエンザなどの感染症や飲酒、運動が喘息の誘因になることもあります。

4気候の変化、大気汚染、タバコの煙

日常生活のちょっとした刺激が引き金となって、喘息の発作を起こすことがあります。例えば冷たく乾燥した空気や気温差、雨天などによる低気圧、タバコの煙、排気ガス、工場の排煙などで汚染された空気などです。なかでもタバコは一酸化炭素やニコチンをはじめ、200種類以上もの有害物質が含まれているため、気道の粘膜の炎症を促進させ、喫煙する人はもちろん周囲でその煙を吸う人も喘息の発作を引き起こしやすくします。

5化学物質でつくられた化粧品、塗料、住宅建材

住宅の新築やリフォームに使用した建材や壁紙などの内装材、接着剤、塗料などの揮発性の有機化合物による室内の汚れた空気を、吸い込むことが原因となって喘息の発作を誘発したり、悪化させたりすることがあります。また化粧品、香水、芳香剤の成分や強い匂いが刺激になって、喘息発作の誘因になることもあります。

6解熱鎮痛薬の副作用

アスピリンをはじめとして、頭痛や生理痛のときに飲む多くの解熱鎮痛薬や、それらの成分を含む風邪薬などによって、喘息の発作が起こることがあります。大人に多くみられますが、子どもの場合もアレルギー症状が起きやすくなります。

喘息をともなう疾患

1気管支喘息(小児)

小児の気管支喘息の約9割がアレルギーの原因物質が特定できるアトピー型で、主にダニとその死骸、フンなどのハウスダストが原因となっています。発症には生まれながらの体質が大きく関係し、多くが1~2歳から始まります。約7割は大人になるまでに良くなりますが、アレルギー体質の子どもの多くは、アトピー性皮膚炎やアレルギー性鼻炎などを次々に発症する傾向があります。

2気管支喘息(成人)

成人の気管支喘息の約3割が非アトピー型で、小児の気管支喘息からの移行や再発よりも、大人になってから初めて発症するケースが多くみられます。過労やストレスが引き金になることから、とくに仕事や家庭での責任が重い40代から60代が成人の気管支喘息の発症のピークになっています。風邪をこじらせたり、加齢によって免疫力が低下したりして引き起こされる場合もあり、現在では小児よりも成人の気管支喘息のほうが多くなっています。

3せき喘息

1カ月以上たんのない乾いたせきが続く、寒暖の差やタバコの煙などでせきが出やすい、夜中から明け方にかけてせきが出やすいなど喘息と似た症状がありながら、ゼイゼイ、ヒューヒューという喘鳴はなく、たんがほとんどからまない状態をせき喘息といいます。この疾患には、風邪薬やせき止めの薬は効果がありません。近年増加傾向にあり、放置すると約3割が喘息に移行します。

4アスピリン喘息

アスピリンなどの消炎鎮痛薬の服用によってその直後から1時間ほどの間に誘発される喘息です。アスピリン以外でも同じ薬効をもつ消炎鎮痛薬であれば、どの薬でも発作の危険性があります。男性に比べ1.5倍も女性に多く、大人の喘息の患者さんの10人に1人はみられます。アスピリン喘息は慢性鼻炎や慢性副鼻腔炎などを合併している場合が多く、喘息症状が重症の人に多くみられるという特徴があります。

5運動誘発性喘息

走ったり階段を上ったりする運動や、笑う、叫ぶなどの動作がきっかけになり、喘息発作を起こす場合があります。大人より子どもに多く、運動した数分後にゼーゼーして呼吸困難が起こります。これはほとんどの場合20~30分程度で自然に治まりますが、喘息の治療が不十分なときに起こりやすいのが特徴です。

予防法

1発作が起こりやすい条件を知っておく

喘息の発作は、季節の変り目、気温や気圧などが急激に変わるとき、深夜・明け方によく起こります。その他、運動や過労、風邪、月経が引き金になる場合もあります。発作が起きた時間帯やそのときの行動、食べたもの、精神状態などを記録しておき、自分がどんなときに発作を起こしやすいかを知っておき、あらかじめ対処しておくと、喘息の発作を防げることも少なくありません。

2発作の前触れを見逃さない

発作が起こる前に、何かしらの異変が起こることがあります。大人の場合は、疲労感、たんをともなわない乾いたせき、微熱、のどから胸の上部の違和感、くしゃみ、鼻水などで、乳幼児の場合は、ぐずぐずして機嫌が悪くなったり、落ち着きがなくなったり、涙目になる、熱が出るなどの症状があらわれます。このような前触れを見逃さず、体を休めて早めに薬を飲むなど対処することが大切です。

3喘息を悪化させる原因物質を取り除く

ダニやホコリ、ペットの毛、花粉、特定の食品などのアレルギーの原因物質や、汚れた空気、タバコ、香料、塗料など、気管支を刺激して喘息の発作を誘発する原因を、日常生活の中からできるかぎり取り除きましょう。とくに最もアレルギーを引き起こしやすいダニの繁殖を防ぐために、室内や寝具などをいつも清潔にし、こまめに換気することが大切です。

4疲れやストレスを溜めない

疲れやストレスは、喘息の発作の引き金になるだけでなく悪化の原因にもなります。喘息の発作を防いだり、悪化させないためには、疲れているときは無理をせず、十分に休養することが大切です。また、ストレスは早めに解消するように心がけ、少しでもリラックスできる時間をもちましょう。

5アルコール、タバコは原則禁止

日本人にはアルコールの分解酵素をもつ人が少ないため、体が処理しきれなかった物質が刺激となって、喘息の発作を誘発しやすい人が多いといわれています。とくに疲れやストレスが溜まっているときにアルコールを飲むと、より発作が起こりやすくなりますので、飲酒は控えるようにしましょう。また、タバコの煙やにおいの刺激によって発作が誘発されますので、禁煙することはもちろん、他人の吸うタバコの煙を吸い込まないように気をつけましょう。

6風邪やインフルエンザの予防

風邪やインフルエンザにかかると気道の粘膜が炎症を起こし、より過敏になります。そのため、喘息の発作が起こりやすくなるだけでなく、細菌などの二次感染に見舞われやすく、肺炎などを起こし、全身の状態が悪化する場合もあります。風邪やインフルエンザが流行しているときはなるべく人ごみを避け、出掛けるときはマスクをしましょう。また、外出から帰ったら、手洗いやうがいを徹底する習慣をつけましょう。

対処法

1病院で診察を受ける

喘息の発作には、激しいせき込みや喘鳴がなく、たんが多く出たり、胸の痛みや息切れ、息苦しさだけがあらわれることもあります。喘息の発作がおさまらないときは迷わず救急診療を受けましょう。また発作がおさまっても、風邪が長引く、せきが止まらない、たんが普段より多いなど、気になる症状があるときは、早めに受診しましょう。

 

 

呼吸困難
 

肺や気管支に異常があったり、心臓の機能が弱まって酸素を運ぶ血液が全身に十分に行きわたらなくなると、酸素不足になります。呼吸は普段無意識のうちに行われていますが、酸素不足になると、呼吸に努力が必要になるようになります。これが呼吸困難で、少し時間的に短くやや軽めの状態を息苦しさということもあります。食物や薬のアレルギーによって引き起こされたり、精神的なストレスによって起こることもあります。

1換気の悪い室内や気圧の低い高地での酸欠状態

密閉された空間や換気の悪い場所では、空気中の酸素濃度が低くなり、呼吸困難に陥ります。高地などの酸素が希薄な場所では、体がその環境に順応できずに呼吸困難を起こす場合があります。症状には個人差がありますが、一般に血液中の酸素濃度が18%未満になると、息苦しさを覚え、呼吸や脈拍が速くなり、頭痛や吐き気、集中力の低下などが起こるといわれています。

2強い不安や恐怖を感じたことによる精神的なストレス

強い精神的なストレスによって、発作的に呼吸が速くなり酸素が過剰に取りこまれ、呼吸困難を起こすことがあります。また、強いストレスなどが原因で激しい不安感や恐怖感に襲われ、動悸や呼吸困難が起こり、ひどいときは意識障害に陥ることがあります。

3アレルギーを起こしやすい体質とアレルギーの関与

特定の原因物質に対して、体の免疫システムが過敏になるのがアレルギーですが、その反応が強く出すぎた場合に、肺への空気の通り道となる気管支が狭まって呼吸困難が起こることがあります。アレルギーによって起こる呼吸困難としては喘息が知られていますが、小麦や鶏卵、牛乳などの食物アレルギーの強い反応によっても呼吸困難などの呼吸器症状を起こし、生命に関わることもあります。ほかに、ハチの毒、天然ゴムのラテックス、薬などによるアレルギーの強い反応でも呼吸困難が起こることがあります。

4タバコの煙、粉塵の刺激、大気汚染による呼吸器へのダメージ

タバコの煙や大気汚染、粉じんは肺や気管支などに悪影響を与えます。タバコの煙や粉じんなどによって気管支や肺胞が刺激され炎症が起き、それが長い期間続くと慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの呼吸器の病気になることがあります。タバコや粉じんなどを長期間、吸っている人や過去に吸っていた人は、なりやすいことがわかっています。

5呼吸困難の原因となる疾患

自然気胸や肺塞栓症などの呼吸器疾患があると、酸素の取り込みと交換ができなくなるために体内に酸素不足が起こり、呼吸困難の原因を引き起します。心臓のポンプ機能が低下する心不全に至ると、肺に送る血液量が減少し、肺での酸素と二酸化炭素の交換が不十分な状態となります。その結果、全身に十分な酸素が送れなくなるため、呼吸困難が起こることがあります。また、心臓の冠動脈が血栓によって血流が完全に途絶えて、心臓の筋肉が壊死する心筋梗塞や心臓弁膜症、心筋炎などの心臓の疾患が悪化して心不全に陥ると呼吸困難を起こす原因になることがあります。

呼吸困難をともなう疾患

1慢性閉塞性肺疾患(COPD)

COPDは気管支に慢性的な炎症が起こる慢性気管支炎と、酸素と二酸化炭素を交換する肺胞が壊れて呼吸ができなくなる肺気腫の総称で、長年の喫煙習慣が原因の90%をしめる疾患です。近年増加しており、現在では世界の死亡原因の第4位となっています。喫煙によって慢性気管支炎になり、せきやたん、息切れが続くようになります。30~40年近くかけてゆっくりと肺の機能が低下して徐々に呼吸が苦しくなり、呼吸困難を起こします。完全に回復することはなく、最終的には呼吸不全になります。

2気管支喘息

アレルギーなどによって気管支が炎症を起こして狭くなり、息が苦しくなる発作を繰り返します。喘息の発作時には、のどが詰まる感じがあらわれ、次いでせき、たん、ゼイゼイ、ヒューヒューという呼吸音(喘鳴・ぜんめい)、呼吸困難が続きます。息を吸うときより吐き出すときの方が苦しくなるのが特徴です。

3肺結核

結核菌という細菌に肺が感染して起こり、せき、たんや肉眼では確認できない微量の血が混じったたん、微熱などの症状が2週間以上続きます。その他、発汗、呼吸困難、食欲不振などの症状があらわれます。結核菌は、せきなどによって感染が広がる可能性がありますが、初期症状が軽いため、感染に気付かないこともあります。感染者数は一時減少したものの、最近では療養施設等でのお年寄りの集団感染や、新しい結核菌の登場によって再び増加しています。

4間質性肺炎

鼻から入った空気は気道を通過して最終的には肺胞にたどりつきます。ぶどうの房のような肺胞は、酸素を取り込み、体の中でできた二酸化炭素を交換する役割をしています。この肺胞の壁(間質)に何らかの原因で炎症が起こり、壁がだんだん分厚くなり、ガス交換の機能が低下する疾患です。息苦しさや呼吸困難を引き起こし、さらに乾いた咳がみられ、進行すると呼吸不全に陥るので危険です。原因が不明なものもありますが、抗生物質や漢方薬などの薬の服用によっても起こる場合があります。

5自然気胸

胸腔内に空気がたまり、肺が虚脱した状態です。肺内の嚢胞(のうほう)という大きな空気の袋の破裂が原因で、タイヤがパンクしたときのように肺が急速にしぼむ疾患です。その際に激しい胸の痛みが起こり、せきが出て呼吸が困難になり、呼吸不全で死に至ることもあります。片方の肺にだけ起こることがほとんどですが、両方の肺に同時に起こることもあります。20代前後、60歳代のやせ型の人に多くみられます。

6肺塞栓症

血の固まりである血栓が肺動脈に流れ込み、詰まった状態です。足の静脈にできた血栓がはがれ、肺動脈に流れ込むことによって起きます。この疾患は肥満や加齢とともに、長時間同じ姿勢で座っていたり、点滴時の大量の空気混入が原因となって起こる場合もあります。急激な呼吸困難や胸の痛み、せき、血たんなどの症状があらわれたり、血圧が低下してショック状態になり、突然死することもあります。

7心不全

心筋梗塞や不整脈などのさまざまな心疾患が原因で、心臓の機能が低下し、体に十分な血液を送り出すことができなくなった状態です。全身の血液循環が悪くなるために肺に血液が溜まって急激にうっ血が増すと、肺水腫による重度の呼吸困難やショック症状が起こることがあります。胃腸や肝臓にうっ血が起こると、食欲不振や嘔吐、腹部膨満感などもみられるようになります。

8心臓弁膜症

心臓にある4つの弁の中で全身血流に影響の大きい2つのいずれかの弁が十分に開かなかったり、弁がきちんと閉じなくなり、血液が逆流したり、一部が漏れでたりする疾患です。弁が狭まり血液を押し出すために高い圧力が必要になったり、せっかく押し出した血液が押し戻され、効率よく血液を送り出すことができず、心臓に負担がかかり心不全となります。息切れ、動悸、むくみ、脈の乱れや胸痛などの症状があらわれます。

9心筋炎(特発性心筋炎)

心臓の筋肉(心筋)が、風邪の原因となるウイルスなどに感染して、炎症を起こす病気です。リウマチなどでも起こることもあります。風邪と似た、発熱や頭痛、だるさ、咳などの症状が1~2週間続きます。さらに息切れ、息苦しさ、動悸、むくみ、脈の乱れや胸痛などの症状があらわれます。

10心嚢(膜)炎

心臓を外側から包む心嚢(膜)に炎症が起こります。細菌やウイルス感染、心筋梗塞や膠原病(こうげんびょう)の合併症として起こることが多くあります。心臓前面の胸骨に沿って、痛みが起こり、息を深く吸ったり横向きに寝たりすると痛みが強まります。心膜腔内に溜まった液が、気管や肺を圧迫するため、呼吸困難やせきなどの症状が出ます。

11過換気症候群(過呼吸症候群)

過剰な精神的ストレスが引き金となって、突然浅く速い呼吸を繰り返す疾患です。動悸や酸欠状態のような息苦しさがあります。呼吸の回数が増えることによって血液中の二酸化炭素が過度に減少し、めまい、手足のしびれや筋肉のこわばりなどが生じます。息苦しさやこのまま死んでしまうのではないかという不安感から呼吸をしようとして、さらに呼吸のスピードが速まる悪循環に陥ることもあります。早まった呼吸を低下させるためには、紙袋で口と鼻を覆い、呼吸をするペーパーバック法が有効です。

予防法

1肺の疾患や生活習慣病に悪いタバコを止める

タバコの煙には、多くの化学物質が含まれており、とくにニコチンやタール、一酸化炭素は、健康に悪影響を及ぼすとされています。気管支に慢性的な炎症を起こして傷つけたり、肺胞をこわしたりします。これらの悪影響は、受動喫煙によっても起こります。また、タバコは肺の疾患だけでなく、生活習慣病にも影響を及ぼします。

2適度な運動や食生活など生活習慣を見直す

狭心症や心筋梗塞などの疾患は、動脈硬化によって引き起こされます。その動脈硬化は、生活習慣が大きく影響しています。糖分や脂肪分の多い食事やカロリーのとりすぎを改め、バランスのとれた食事を適度にとるようにしましょう。また、適度な運動を習慣にして、肥満を防ぐようにしましょう。

3ダニなどのアレルギー源を寄せ付けない、増やさない生活環境をつくる

ダニなどのハウスダストは、気管支喘息などのアレルギーの原因物質となり、発作による呼吸困難を誘発する一因となります。気密性の高い住宅では、とくにハウスダストが発生しやすいため、室内の通気を良くする、掃除機でしっかり吸い取るといった対策が大切です。

4急激な温度差、動作を避ける

大きな温度差を急に感じたときには、気管支喘息の発作が起こりやすくなります。寒い場所に移動する際には、マスクをするなどして、冷たい空気がのどを直接刺激しないようにしましょう。また、気温が大きく下がったときには、心臓に負担がかかり狭心症や心筋梗塞を誘引します。とくに夜間のトイレなどは要注意です。部屋と廊下やトイレなどの温度差をできるだけ少なくする工夫をしましょう。

5精神的なストレスを解消して溜めこまない

精神的なストレスは、呼吸困難を起こす過呼吸症候群の直接的な原因となります。また、気管支喘息を悪化させる要因としてストレスが挙げられます。さらに、心臓の疾患に結び付く生活習慣病は、精神的なストレスが影響します。趣味などストレスを発散できる方法を持つ、リラックスタイムをもうける、相談相手を持つなどで上手にストレスを解消するようにしましょう。

6飛行機内では水分を補給し体を動かす

海外出張や旅先での移動手段となる飛行機の中では、長い間体を動かさない状態が続きます。狭い座席で腰にシートベルトを締め、長時間座っていると下半身の血流が悪くなることで血栓をつくり、その血栓が肺動脈に流れ込み血管をふさぐ肺塞栓症を引き起すことがあります。水分を十分に補給し、時どき座席を離れ歩くようにしましょう。下半身の血流を良くすることで、血栓の予防になります。ちなみにこの症状をエコノミー症候群ともいいますが、必ずしもエコノミー席を利用したための特有の症状とは限らないようです。

対処法

1気持ちを落ち着かせる

息が苦しくなると、恐怖や不安によってパニックが起こるなど、症状が悪化してしまうことがあります。そうならないように、気持ちを落ち着かせて、安静にするようにしましょう。このようなときに歩いたり動いたりすると、症状が悪化しますので、急激な動作を避けることも大切です。

2楽な姿勢にして新鮮な空気を吸えるようにする

ベルトやネクタイ、ボタンをはずすなど衣類を緩めて、全身をゆったりさせ、楽に呼吸ができるように、頭を高くしてあごをあげましょう。また、空気の良いところに移動させたり、部屋の中の換気を行うなどして、新鮮な空気を吸えるようにしましょう。

3鼻づまりやのどの詰まりに注意する

鼻が詰まっていたり、痰や嘔吐物などがのどに溜まっていると、呼吸が苦しくなります。頭を下にして胸をたたいて、のどにつかえているものを取ったり、吸引するなどして、解消するようにしましょう。

4病院で診察を受ける

呼吸困難の症状が起こる原因のほとんどは呼吸器の疾患や心臓の疾患が関わっています。胸の激しい痛みをともなう呼吸困難を訴えている場合は心筋梗塞の可能性があります。また、高い熱をともなうようなときは肺炎などの感染症を合併していることが疑われます。そうした状況では、一刻も早く受診しましょう。

 

 

 

 

 

動悸
 

普段の心臓の鼓動より強く感じたり、心臓の動きが速く感じたり、脈の間隔が不規則に感じたりする不快な症状が動悸です。

1過剰な興奮や緊張状態

過剰な興奮状態のときや、不安や緊張や恥かしい思いをしたときには、脈が速くなることがあります。これは自律神経の働きによって体が興奮して起こる生理的な反応です。このように原因が明確なときは基本的に心配はいりませんが、安静時にも関わらず動悸を感じる場合は、病院で検査を受けましょう。

2カフェインやアルコールの飲みすぎ

お茶やコーヒーに含まれるカフェイン、アルコール、ニコチンなどには自律神経を刺激し、血圧を変化させて脈拍を速める作用があります。これらを飲みすぎると、胸に苦しさを感じたり動悸を引き起こすことがあります。アルコールは適量をたしなみ、タバコは禁煙するようにしましょう。

3動悸の原因となる主な疾患

動悸の多くの原因は心臓病ですが、若い女性に多いバセドウ病(甲状腺機能亢進症)、うつ病などの精神疾患などでも動悸を感じることがあります。また、女性の場合、更年期や妊娠中など、女性ホルモンの分泌量が変化することによって動悸の発作が起きることもあります。

4薬の副作用

低血圧、狭心症の治療として血管を拡張する薬や、腸の働きを抑えるために交感神経を強く刺激する薬を服用していると、動悸の症状を引き起こすことがあります。また、糖尿病の治療のためにインスリンを過剰に投与してしまうと、低血糖に陥り動悸を招きます。逆に、高血圧や心臓病の治療薬を中止した後に動悸が起こることもあります。

動悸をともなう疾患

1不整脈

心拍動が標準値(1分間に60~100回程度)を超えて、拍動が多すぎたり少なすぎたり、または心拍動のリズムが乱れるのが不整脈です。動悸とともに低血圧や失神、意識消失や心停止に至ることがあり、生命の危険にさらされることがあるので、心臓や循環器の専門医への受診が必要です。

2狭心症・心筋梗塞

狭心症は、心臓の筋肉に血液を送り込む血管が動脈硬化によって狭くなり、血流が不足して心臓が一時的に酸素欠乏状態に陥る疾患です。胸の中央からのどにかけて圧迫痛や呼吸困難、動悸といった発作が起こります。また、血管に血の塊が詰まって血管が完全に閉塞し、血流が途絶える心筋梗塞でも、不整脈による動悸や息切れが起こることが多くあります。

3低血糖症

血糖値の異常な低下(通常50mg/dl以下)によって引き起こされる症状です。動悸、手足の震え、冷や汗の他、空腹感やイライラ感が募り、感覚が鈍ってきます。さらに放置していると、病状は進行し、異常行動、錯乱、痙攣発作に続いて意識を消失し、死に至ることがあります。また、糖尿病の経口治療薬やインスリンの投与量が多すぎたり、運動や長い空腹状態のときにインスリンが強く効きすぎたりした場合などに多くみられます。

4バセドウ病(甲状腺機能亢進症)

全身の代謝をコントロールする甲状腺ホルモンの過剰分泌によって、全身のエネルギー代謝が異常に高まる病気です。20代~30代の女性に多く、のどぼとけ下にある甲状腺の腫れ、眼球突出、動悸が主な症状です。その他、手のふるえ、息切れ、不眠、生理不順や無月経、発汗、体重減少などの症状もみられます。

5貧血

鉄分の不足などが原因で、酸素と結合して酸素を体のすみずみまで運ぶヘモグロビンが減少し、血液中の濃度が薄くなった状態です。ヘモグロビンの数値が男性は13.0g/dl以下、女性は12.0g/dl以下になると、貧血とされています。動悸の他に倦怠感、立ちくらみ、めまい、耳鳴り、頭痛、冷えなどの症状が起こります。

6更年期障害

閉経の前後、約10年間をさす更年期を迎えると、女性ホルモンのバランスが急激に変化し、心や体にさまざまなトラブルを引き起こします。動悸や疲れ、だるさ、肩こり、のぼせやほてり、イライラや不安感などの症状の他、めまい、耳鳴りが起こることもあります。

対処法

1動悸の発作が起きたときには心と体を安静にする

動悸の発作が起こったら、楽な姿勢でおさまるかどうか、まずは一時的に様子をみましょう。このときに深呼吸を繰り返すことや、首の動脈や両目を静かに押すことで動悸がおさまることもあります。もし、動悸だけでなく胸の痛みや呼吸困難をともなう場合にはすぐに助けを呼びましょう。

2病院で診察を受ける

安静にしているのに動悸が生じる場合は、内分泌ホルモンや心臓に異常がある可能性があります。また、もともと心臓を患っていて動悸があるときは、主治医や内科を受診し検査を受けましょう。発作が起こったときには、できる限り、脈拍数や脈の間隔、強さなどをチェックしておき、受診時に医師に伝えるようにしましょう。

 

 

息切れ
 

呼吸が激しく苦しくなるのが息切れですが、健康な人でも、全力で走ったり階段を駆けのぼったりすると、息切れを起こします。しかし、激しく動いたわけでもないのに息切れを起こすのは、心臓や肺、脳などに異常が起きているサインです。これらの器官に問題があると、呼吸の機能に障害が出て体内の酸素が不足し、息切れの症状があらわれるのです。

1激しい運動や運動不足による体内の酸欠状態

運動をするとき、体はたくさんの筋肉を動かすためのエネルギーを必要とします。そこで呼吸によって酸素を取り入れ、その酸素を使って体内のブドウ糖などをエネルギーに変えています。激しい運動をしたときほど大量の酸素を必要とするため、酸素を多く取り入れようと呼吸が早くなって息切れを起こすのです。また、運動不足だと、心臓が血液を送り出すための筋力が弱くなり、息切れを起こしやすくなります。

2肥満による心臓への大きな負担

体重の増加にともなって体が大きくなると、体はその分多くの酸素を必要とします。肥満では心臓はたくさんの血液とともに酸素を体中に送ろうと、活発に活動します。すると心臓に大きな負担がかかり、息切れや動悸が起こりやすくなります。

3過労やストレスによる脈拍や血圧の乱れ

脈拍や血圧などを調整している自律神経が過労や過剰なストレスによって乱れると、息切れや動悸が起こりやすくなります。また、ストレスを感じると無意識に呼吸が浅くなる傾向にあります。浅い呼吸で肺に十分な酸素が送られないことで、息切れを引き起こすことがあります。

4息切れの原因となる主な疾患

息切れの原因となるのは、主に呼吸器疾患、循環器疾患、脳の血管障害です。呼吸器では慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気管支喘息、過換気(呼吸)症候群などが疑われます。循環器では心不全、狭心症、心筋梗塞、不整脈が、また脳の血管障害ではくも膜下出血、脳梗塞、脳出血などの疾患が考えられます。他にも貧血、更年期障害、甲状腺機能亢進症が息切れの原因となることがあります。

喘息をともなう疾患

1慢性閉塞性肺疾患(COPD)

長年の喫煙習慣が原因の90%をしめる疾患です。近年増加しており、世界の死亡原因の第4位となっています。喫煙によって慢性気管支炎や肺が弾力を失う肺気腫を引き起こし、せきやたん、息切れが続くようになります。30~40年近くかけてゆっくりと肺の機能が低下して徐々に呼吸が苦しくなり、最終的には呼吸不全になることもあります。

2気管支喘息

慢性の気管支の炎症や、アレルギーによって気道が過敏になって狭くなる症状があらわれると、息が苦しくなる発作を繰り返します。喘息の発作時には、のどが詰まる感じがあらわれ、次いでせき、たん、ゼイゼイ、ヒューヒューという呼吸音(喘鳴・ぜんめい)、呼吸困難が続きます。息を吸うときより吐き出すときの方が苦しくなるのが特徴です。

3貧血

鉄分の不足などが原因で、酸素と結合して酸素を体のすみずみまで運ぶヘモグロビンが減少し、血液中の酸素濃度が薄くなった状態です。ヘモグロビンの数値が男性は13.0g/dl以下、女性は12.0g/dl以下になると、貧血とされています。体内の酸素が不足するためにだるさや倦怠感、息切れ、めまいなどの症状が起こります。

4更年期障害

閉経前後の約10年間をさす更年期を迎えると、女性ホルモン(エストロゲン)の急激な減少により自律神経のバランスが崩れてほてり、のぼせ、イライラ、息切れ、動悸、めまいや肩こりなど心と体にさまざまなトラブルが生じます。顔が突然カーッと熱くなって首や背中に汗が流れる症状はホットフラッシュと呼ばれ、更年期障害の前半にあらわれることの多い症状です。

5バセドウ病(甲状腺機能亢進症)

のどぼとけの近くにある甲状腺から、甲状腺ホルモンが過剰に分泌される疾患です。甲状腺ホルモンの代謝亢進作用によってのぼせやほてり、多汗、手が震えたり、息切れや動悸の症状が起こります。その他疲労感や体重の減少、甲状腺の腫れ、目が突き出るなどの症状があらわれます。20~30代の女性に多く発症します。
 

6心不全

心筋梗塞や不整脈などのさまざまな心疾患が原因で、心臓の機能が低下し、体に十分な血液を送り出すことができなくなった状態です。全身の血液循環が悪くなるために肺にうっ血が生じ、呼吸困難、息切れや動悸が起こります。胃腸や肝臓にうっ血が生じると、食欲不振や嘔吐、腹部膨満感などもみられるようになります。

7狭心症

心臓の筋肉に血液を送り込む冠動脈が脂質異常症や糖尿病によって、血管が動脈硬化で狭くなり、血流が不足しやすい状態に陥ります。そして、階段の昇降時や寒い日など心臓に負担がかかったときに、数分程度一時的に酸素が不足して、胸が締め付けられるような痛みや息苦しい発作を起こします。

8心筋梗塞

心臓の筋肉に血液を送り込むのが冠動脈です。その冠動脈が動脈硬化を起こして内腔が狭くなると、血液が固まってできる血栓が詰まり、血流が完全に止まってしまうのが心筋梗塞です。突然、胸に激痛が起こり、痛みは30分から数時間続くことがあります。血流が止まると心筋の壊死がはじまり、その範囲が広がると、血圧が低下して顔面が蒼白になるとともに、吐き気や冷や汗などがみられたり、意識を失って死に至ることもあります。

9脳出血

脳内の血管が破れて出血するのが脳出血です。その血管下流への血流がなくなったり、脳の中に出血した血液の塊ができ、それが周囲の組織を圧迫したりして脳の組織の破壊や障害が進みます。小脳や脳と脊髄をつなぐ脳幹部にこれらの障害が起きると、息切れや激しいめまい、頭痛、吐き気・嘔吐、手足のまひなどの症状があらわれます。

10不整脈

心拍動が標準値(1分間に60~100回程度)を外れて、拍動が多すぎたり少なすぎたり、または心拍動のリズムが乱れるのが不整脈で、息切れや動悸、胸の不快感などを感じます。低血圧や失神、意識消失や心停止に至ることがあり、生命の危険にさらされることがあるので、心臓や循環器の専門医への受診が必要です。

11過換気症候群(過呼吸症候群)

過剰な精神的ストレスが引き金となって、突然浅く速い呼吸を繰り返す疾患です。動悸や酸欠状態のような息苦しさを訴えます。呼吸の回数が増えることによって血液中の二酸化炭素が過度に減少し、めまい、手足のしびれや筋肉のこわばりなどとともに呼吸速度が速まり、ときに失神することもあります。早まった呼吸を低下させるためには、紙袋で口と鼻を覆い、呼吸をするペーパーバック法が有効です。

予防法

1塩分を控えるなど、食生活に気を配る

日々の食生活を見直すことで、心臓への負担を減らすことができます。第一に血圧上昇の大きな原因となる塩分を控えること。減塩しょうゆを使ったり、塩分の代わりに酢や香辛料で味付けするなどの工夫をしましょう。また、急激な血糖値の上昇を招く早食いは厳禁です。ゆっくりと良く噛んで食べれば血糖値の上昇を抑えられ、満腹感も得られます。

2肥満を解消する

肥満は心臓に負担をかけると同時に、あらゆる生活習慣病を呼び寄せる危険因子です。日々の食生活や運動に気を配り、肥満を解消していきましょう。ただし、急激な食事制限によるダイエットは続かず、しかもリバウンドする可能性も高くなります。ウォーキングなど、心臓に負担をかけない軽い運動と1日1600~1800kcalという摂取カロリーを守る食生活を続け、長いスパンで体重を落としていくことをおすすめします。

3運動不足を解消する

運動不足になると、筋力が落ちて心臓の働きも弱り、少しの運動で息切れします。適度な運動を続けて血液の循環を高めていきましょう。そのためには、ウォーキング、水中ウォーキング、ラジオ体操などの有酸素運動を1日20~60分、週に3日以上行うのが良いでしょう。

4急激な寒暖差に気をつける

体が急激な温度変化にさらされると、血管が収縮して血圧が急上昇し、心臓に大きな負担がかかります。暖房の効いた室内から外に出るときや、逆に夏に暑い戸外から冷房の効いた室内に入るときにも温度差が大きくなりすぎないよう、衣類などで調整しましょう。冬には、トイレや脱衣所、浴室などを温める工夫も必要です。

5お酒は適量にする

アルコールやコーヒーの飲みすぎは血流を増やして血圧を上げ、心臓に負担をかけます。また肥満や動脈硬化にも繋がるので、適量を守ることが大切です。ビールなら大びん1本、日本酒なら1合、ワインでグラス2杯程度に留めましょう。また、週に2日は休肝日を設けましょう。

6喫煙を控える

タバコを吸っていると血圧が上がり、心拍数を早めるため心臓に負担がかかります。また、血圧だけでなく体全体に悪影響を及ぼしますので、禁煙が一番。何度も禁煙に失敗しているという人は、ニコチンガムやニコチンパッチなど禁煙補助薬の助けを借りてみるのも一つの方法です。

7ゆとりのある生活を送り、ストレスを溜めない

時間に追われる緊迫感や仕事のプレッシャーなどのストレスは、心臓に負担をかける原因となります。疲労やストレスが蓄積しないように、無理のないスケジュールを立て、つねに時間にゆとりをもって行動しましょう。また、少しでも好きなことをする時間をもつこと、十分に睡眠をとることも大切です。

対処法

1楽な姿勢になって安静にする

多くの息切れは、楽な姿勢になって安静にすることで自然におさまります。気管支喘息の発作では、横になるとより苦しさが増しますから、座って安静にするといいでしょう。安静にしていても息切れが起こるようなときは、病院で診察を受けましょう。

2病院で診察を受ける

平坦な所での歩きや着替えなど、日常のなんでもない行動で息切れするような場合や、坂道や階段を上ったときに息切れと同時に胸の痛みが起こるようなときには、主治医や内科で診察を受けましょう。

 

 

脈拍の異常
 

心臓は、全身の動脈へ血液を送り出すために規則的に収縮したり、全身の静脈から心臓に血液を取り込むために拡張したりしています。この動きを心拍動といい、1分間に60~80回ほど繰り返します。心拍動が手首などの動脈に伝わり、脈拍として感じられます。心拍動が標準値(1分間に60~100回程度)よりも多すぎたり、少なすぎたり、またはリズムが乱れて脈拍が乱れる状態を不整脈といいます。

1緊張や興奮

緊張したり、興奮すると、自律神経の一つで活動の神経といわれる交感神経が優位に働きます。これによって、心臓を動かす信号がたくさん発信され、心臓がドキドキして脈拍が早くなります。他にも、同じ理由から精神的なストレスを強くうけたり、激しい運動や入浴後などには脈拍が早くなります。

2リラックス状態

寝入りばなや睡眠中、起床時は、自律神経の一つであり、リラックス状態をつくる副交感神経が優位に働きます。このため、心臓の拍動がゆったりとなり、脈拍が減少します。通常の変動では、ほとんど問題はありませんが、脈拍が少なくなりすぎると心臓から体内に送られる血液量が減少して慢性的な酸欠状態になり、めまいや失神が起こるなど危険な状態に陥ることがあります。

3睡眠不足や過労

脈拍の異常で多いのは、脈が1回抜けるように感じたりドックンと強く打つように感じる、いわゆる「脈が飛ぶ」という症状です。睡眠不足や過労、飲酒などで自律神経のバランスが乱れると起こりやすくなります。脈が飛ぶのが1分間の通常脈拍数の1割以下なら問題ありませんが、長く続いたり、多発するときは注意が必要です。

4脈拍異常の原因となる主な疾患

脈拍は、主に心臓の働きに左右されるため、異常があるときは心筋梗塞、狭心症、心房細動、心筋症、心筋炎や心臓弁膜症などの心臓の疾患を疑う必要があります。また、貧血、更年期障害、自律神経失調症、バセドウ病などでも脈拍に異常が生じることがあります。

脈拍の異常をともなう疾患

1心筋梗塞

心筋梗塞は、心臓の筋肉に血液を送り込む冠動脈が狭くなり、そこを血液が固まってできる血栓がふさいで血流が完全に止まってしまう状態です。心筋の一部が壊死してしまうことから、死に至ることもあります。脈拍の異常や強い動悸をはじめ、胸やみぞおちに激痛が起こり、吐き気や冷や汗などもみられ、胸の痛みは30分から数時間続きます。主な原因は動脈硬化ですが、これに高血圧や糖尿病、肥満、喫煙などが重なるとリスクが高まります。

2狭心症

心臓の筋肉に血液を送り込む冠動脈という血管の内腔が動脈硬化で狭くなり、血流が不足しやすい状態に陥ります。そのために階段の昇降時や寒い日などに、一時的に(数分程度)酸素が不足して、胸の痛みや脈拍の異常、息苦しい発作を起こします。

3心房細動

心臓の上方をしめる薄い筋肉でできた心房が、異常な刺激で不規則に震え、心臓が正しく収縮できない状態です。拍動、脈拍の異常、強い動悸や息苦しさなどがあり、放置すると心不全や脳梗塞を引き起こし、死に至ることもあります。心臓に疾患がある人に多いのですが、健康な人でも睡眠不足や過労、飲酒、喫煙などがきっかけで起こることがあります。年齢とともに増える傾向があります。

4心筋症

心筋症とは、なんらかの原因で、心臓の筋肉(心筋)の状態が悪くなって心臓の機能が低下する疾患です。心筋が極端に厚くなる心肥大型心筋症と、心筋が薄くなって心臓が拡張する拡張型心筋症に分けられます。いずれも、心臓のポンプ機能が低下して心不全症状を引き起こしたり、脈拍の異常や胸部の圧迫感、疲れやすいなどの症状があらわれます。放置すると突然死に繋がることもあります。

5心筋炎

インフルエンザなどのウイルスが心臓の筋肉(心筋)に感染し、炎症を起こす病気です。発熱や頭痛など風邪のような症状とともに、頻脈など脈拍の異常が起こります。発熱や筋肉痛など風邪のような症状があらわれ、軽症で治るケースもあれば、動悸や息切れ、むくみなどが起こり重症化する例もあります。
 

6心臓弁膜症

心臓にある4つの弁のどれかが十分開かなくなったり、閉まらなくなったりして働きが損なわれると、脈拍の異常が起こり、動悸や息切れ、胸の痛みなどが起こります。しかし、症状はジワジワと進行していくため、自覚症状がない場合も多くあります。先天性のものや、菌の感染により全身に炎症が起こるリウマチ熱などによるもの、また加齢にともなって動脈硬化と同じような変化が起こり、心臓の弁が硬くなって動きにくくなるといったこともあります。

7房室ブロック

心臓の拍動は、心房から心室への電気的な刺激の伝達によって規則的に心臓の筋肉が拡張と収縮を繰り返します。しかし、心房と心室への通り道に障害が起こると、心室に刺激が十分に伝わらず、拍動が遅くなります。重症化すると、心室へ刺激がまったく伝わらなくなり、心臓から脳への血液供給が減少し、失神することもあります。この場合は、心臓にペースメーカーを埋め込む必要があります。

8貧血

鉄分の不足などが原因で、酸素と結合して酸素を体のすみずみまで運ぶヘモグロビンが減少し、血液中の濃度が薄くなった状態です。ヘモグロビンの数値が男性は13.0g/dl以下、女性は12.0g/dl以下になると、貧血とされています。全身に血を送ろうとするために心臓が活発に活動するので、ちょっとした動作でも脈が速くなったり、動悸が起こる他、冷え、倦怠感、立ちくらみ、耳鳴り、頭痛などの症状が起こります。

9自律神経失調症

ストレスなどが原因で自律神経が乱れ、心や体に不調があらわれた状態です。不安や緊張、抑うつなどの心のトラブルにより、心拍数が早くなってドキドキしたり、逆に、朝起きても心拍数が上がらずにずっと体がだるい状態が続いたり、うまくコントロールができなくなります。他に、吐き気をはじめ多汗、全身の倦怠感、頭痛、肩こり、手足のしびれ、めまい、不眠など、人によってさまざまな症状があらわれます。

10バセドウ病(甲状腺機能亢進症)

全身の代謝をコントロールする甲状腺ホルモンの過剰分泌によって、全身のエネルギー代謝が異常に高まる病気です。20代~30代の女性に多く、心拍数が多くなる頻脈、動悸、のどぼとけ下にある甲状腺の腫れ、眼球突出が、主な症状です。その他、手のふるえ、息切れ、不眠、生理不順や無月経、発汗、体重減少などの症状もみられます。

11更年期障害

閉経の前後、約10年間の更年期を迎えると、女性ホルモンのバランスが急激に変化し、心や体にさまざまなトラブルを引き起こします。更年期に起こる女性ホルモンの減少により自律神経のバランスが乱れ、脈拍に異常を起こすことがあります。その他、疲れやだるさ、肩こり、のぼせやほてり、イライラや不安感などの症状があらわれます。

対処法

1病院で診察を受ける

脈拍の異常は、心配のないものも少なくありませんが、中には心臓の病気などが隠れていることがあります。自覚症状がある場合は、内科で診察を受けましょう。また、自覚症状がなくても40歳を超えたら健康診断などで心電図検査を受けて、心臓の動きのチェックをすることが大切です。