労働安全衛生法に基づく「雇入時健康診断」・「定期健康診断」(以下「定期健康診断等」とする。)の検診項目が、追加変更され平成20年4月1日から施行されました。(労働安全衛生法施行規則の一部を改正する厚生労働省令(厚生労働省令第96号)が平成19年7月6日公布されました。)
我が国の死因の上位を占めている脳・心臓疾患については、肥満・高血圧・高脂血症・高血糖の4つを合わせ持つと発症リスクが高まります。また、肥満の指標としての腹囲(内臓脂肪)が脳・心臓疾患の発症リスクとして相関していることも明らかとなっています。さらに、LDLコレステロールが高い数値の場合、動脈硬化の危険因子として評価されています。これらを受けて、新たに「腹囲」の測定が追加され、血清総コレステロールの検査に替えて「低比重リポ蛋白コレステロール(LDLコレステロール)」の検査へと変更されることとなりました。
さらに、医師の判断により検査を省略することができる「労働安全衛生規則第44条第3項に基づく厚生労働大臣が定める基準」において、「腹囲の検査」の省略することができる者の要件が追加され、「尿中の糖の有無の検査」の省略が削除されました。
定期健康診断等の検査項目、「腹囲の検査」の省略することができる者の要件は下記のとおりとなりました。
<定期健康診断等の検査項目>
(1)既往歴及び業務歴の調査
(2)自覚症状及び他覚症状の有無の検査
(3)身長、体重、腹囲、視力及び聴力の検査
(4)胸部エックス線検査及び喀痰検査
(5)血圧の測定
(6)貧血検査(血色素量、赤血球数)
(7)肝機能検査(GOT、GPT、γ-GTP)
(8)血中脂質検査(低比重リポ蛋白コレステロール、高比重リポ蛋白コレステロール、血清トリグリセライド)
(9)血糖検査
(10)尿検査(尿中の糖・蛋白の有無)
(11)心電図検査
<医師の判断で省略が可能>
上記(3)の「腹囲の検査」について医師の判断で省略することができる者は次のとおりです。
(1)40歳未満の者(35歳の者を除く。)
(2)妊娠中の女性その他の者であって、その腹囲が内臓脂肪の蓄積を反映していないと診断されたもの
(3)BMI(体kg/身長m/身長m)が20未満である者
(4)自分で腹囲を測定し、その値を申告した者(BMIが22未満である者に限る。)
※「腹囲検査」結果は定期健康診断結果報告の項目としておりません。
■特定健診とは
医療保険者には平成20年4月1日から特定健康診査と特定保健指導が義務化されました。
従来の基本健康診査では、個別の疾患を早期発見することが目的でしたが、特定健康診査では、内臓脂肪型肥満に着目した生活習慣病の発症や重症化を予防すること(目標25%削減)を目的としています。
そのため、特定健康診査は増加傾向にあるメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)に着目し、該当者及び予備群を減少させるため、特定保健指導を必要とする者を的確に抽出するために行われます。
医療保険者(国保・被用者保険)は、40~74歳の加入者(被扶養者・被保険者)を対象として、毎年度特定健康診査を実施しなければなりません。
■特定健康診査の実施
受診時は受診券(特定保健指導の場合は利用券)と健康保険証を持参して下さい。
■診査内容
(1)診察、身長、体重、腹囲測定、尿検査等の測定
(2)血圧測定、必要に応じて詳細検査(心電図検査、眼底検査、貧血検査)を実施
(3)採血