血圧とは、血液が動脈の壁を押す力のことです。心臓が収縮して血液を押し出すときの圧力を収縮期(最高)血圧、心臓が拡張して全身の静脈や肺などから血液を吸い込むときの圧力を拡張期(最低)血圧といいます。最高血圧または最低血圧が、正常とされる基準値を慢性的に超えている状態が高血圧です。
塩分のとりすぎは、血圧を上昇させる大きな原因となります。さらに、動物性脂肪や糖分のとりすぎは肥満や動脈が硬くなって内腔が狭くなる動脈硬化を招き、高血圧を引き起こす原因となります。
野菜などに含まれるカリウムは塩分を排出する働きがあるため、野菜が不足しても高血圧になりやすくなります。また、カルシウムには血圧を下げる作用がありますので、不足すると血圧が高くなります。
65歳以上の3人に2人が高血圧といわれています。これは、加齢にともない動脈硬化が進むことによって血液が流れにくくなったり、血圧をコントロールする自律神経が正常に働かなくなることが原因です。また、両親や祖父母に高血圧の人がいる場合や、塩分の影響を受けやすい体質の場合も高血圧になりやすく、20~30歳代で血圧が高めになる人の多くは、体質の影響を強く受けていると考えられています。
適度な運動をすると血圧を下げる働きをするホルモンの分泌が増え、逆に血圧を上げるホルモンの分泌が減るため、血圧の上昇を防ぐことができます。また、運動不足は肥満に繋がりますが、肥満の人は血液中のインスリン濃度が高くなりやすく、この状態が交感神経を刺激して血圧を上げると考えられています。
ストレスがかかると自律神経の交感神経が強く働き、血管を収縮させるホルモンが分泌されるために、血圧が上がります。緊張をしたときにも血圧が上がり、病院で血圧を測ると普段より高くなってしまう状態を白衣性高血圧と呼んでいます。また、疲労や睡眠不足が続くと自律神経が乱れるため、血圧の上昇を招くことがあります。
遺伝や肥満、塩分のとりすぎなどの生活習慣が原因で、収縮期(最高)血圧140mmHg以上、または拡張期(最低)血圧90mmHg以上が続く状態です。頭痛やめまいなどをともなうこともありますが、特徴的な自覚症状はほとんどなく、放置すると動脈硬化が進んで、心筋梗塞や脳卒中などの合併症を引き起こします。日本では患者数が現在約4000万人といわれ、子どもの高血圧も増えています。
血液中のLDL(悪玉)コレステロールが増えると、コレステロールが動脈の血管に沈着しやすくなり、血管の弾力性が失われて動脈硬化を引き起こします。同様に高血圧も動脈硬化を促進する大きな原因の一つです。高血圧は動脈壁の一番内側の内皮細胞を傷つけ、血管壁にコレステロールが取り込まれやすい状態にします。高血圧と動脈硬化は互いの症状を悪化させていき、ある日突然、心筋梗塞や脳梗塞のような疾患となってあらわれます。
脳の中の細い動脈が高い圧力を受け続けることでもろくなり、破れて出血する疾患です。脳の中に大きな血液の塊ができ、脳の組織を圧迫してダメージを与えます。50歳代以上の高血圧の人に起こりやすく、運動や仕事をしているときに急に発病することが多いのが特徴です。片側の麻痺や手足のしびれ、頭痛、吐き気、嘔吐、頭痛、めまいなどの症状などを起こします。出血の範囲が広いと、意識障害があらわれ、死に至ることもあります。
動脈硬化によって脳動脈の血管が狭くなっている部分に、血液が固まってできる血栓が詰まることで、血流が完全に止まる状態が脳梗塞です。高血圧は、脳動脈の動脈硬化を促進する大きな原因となります。脳梗塞は起こった場所によって、半身不随や言語障害、また最悪の場合、心停止や呼吸停止などを起こし、死亡に至ることもあります。
高血圧が長く続いたり動脈硬化が進行すると、心臓はより強い力で血液を送り出さなくてはならないため、心臓の筋肉が大きくなり、心臓の壁が基準以上に厚くなるのが心肥大です。心肥大になると、心筋が酸素と栄養不足になりやすく、機能が低下し、放置すると心不全を引き起こすこともあります。主な症状は動悸や息切れで、進行すると呼吸困難を起こします。
狭心症は、心臓の筋肉に血液を送り込む血管の動脈硬化が進行して、血管内腔が狭くなり、血流が不足して心臓が一時的に酸素欠乏状態に陥る疾患です。胸の中央からのどにかけて圧迫痛や呼吸困難、動悸といった発作が起こります。とくに坂道や階段を上ったときなどに痛みや呼吸困難が起こりやすくなり、このような痛みは1~2分から、長くても15分以内におさまることがほとんどです。
心臓の筋肉に血液を送り込むのが冠動脈です。その冠動脈が動脈硬化を起こして狭くなっている部分に、血液が固まってできる血栓が詰まり、血流が完全に止まってしまうのが心筋梗塞です。突然、胸に激痛が起こり、心筋の壊死が始まります。痛みは30分から数時間続くことが多いといわれています。心筋の壊死の範囲が広がると、血圧が低下して顔面が蒼白になるとともに、吐き気や冷や汗などがみられたり、意識を失って死に至ることもあります。主な原因は動脈硬化ですが、これに高血圧や糖尿病、肥満、喫煙などが重なるとリスクが高まります。
高血圧が続くと腎臓の中の細い動脈にも動脈硬化が起こります。腎臓に流れる血液の量が減り、腎臓の血管の壁がだんだんと萎縮して弾力が失われガラス様物質がつまり、機能が低下する状態が腎硬化症で、まったく自覚症状のないまま進行する場合も少なくありません。高血圧を治療しないで放置していると腎臓の機能が著しく低下し、透析治療が必要になる場合もあります。
高血圧症の人の場合、一日の塩分摂取量は6g未満とされています。だしを濃いめにしたり、酸味や香辛料を上手に使って、薄味でもおいしく食べられる工夫をしましょう。また、油を減らすには、ゆでる、蒸す調理法がおすすめです。カリウムが豊富ないも類、トマト、ホウレンソウ、バナナなどの野菜や果物類、カルシウムの豊富な牛乳、小魚、ひじきなどを積極的にとりましょう。
ウォーキングなどの軽く汗ばむ程度の運動を習慣にすることは、血圧を下げる体内物質を増やす作用があります。さらに、代謝が良くなるとともに、筋肉がつくことで体脂肪が燃えやすくなり、肥満の解消に繋がります。通勤のときに一つの駅まで歩いたり、エスカレーターやエレベーターを使わず階段を利用して運動を無理なく生活の中に組み入れましょう。ただし、急激な運動は血圧の変動を招きますので注意しましょう。
血圧が高い人は、一日の中で趣味を楽しむなど、ゆったりした時間を持つことが大切です。夕食の2~3時間後に40℃以下のぬるま湯にじっくりとつかり、入浴後は暖かい部屋でストレッチをしたり、好きな音楽や香りを楽しんだり、読書をするなど、就寝までの時間をリラックスして過ごしましょう。
高血圧を放置すると危険な合併症を招くことがありますので、できるだけ軽いうちに発見して対処することが大切です。定期的に健康診断や人間ドックなどを受けて高血圧と診断された場合や、家庭で朝晩血圧を測り、収縮期(最高)血圧140mmHg以上、または拡張期(最低)血圧90mmHg以上の場合、まずは主治医を受診しましょう。
痛風は、血液中の過剰な尿酸が体の組織に移行して結晶化し、関節などに溜まって炎症を起こす疾患です。尿酸は、細胞核の代謝の過程で生成したプリン体が、さらに分解されてできる老廃物です。尿酸は通常、尿や便として排泄されますが、つくられすぎたり、うまく排泄できないと、体の組織にたまり、結晶化して炎症を起こします。
ストレスと痛風は密接な関係があります。心身の緊張状態が続くとエネルギー消費が多くなり、尿酸が過剰につくりだされるとともに、ストレスによってホルモンの分泌が変化することで、腎臓から尿酸が排泄されにくくなると考えられます。そのため、痛風は仕事や家庭における責任の重い30~50代の男性に最も多く発症します。
尿酸は、食事に含まれるプリン体からも生成されます。プリン体はほとんどの食品に含まれ、なかでもレバーなどの内臓、魚卵、貝類、ビールなどに多量に含まれます。体内に入ると多くが腸管内で分解されますが、食べすぎると尿酸が増えるのを助長して痛風を招きます。
肥満はさまざまな生活習慣病の危険因子ですが、痛風とも密接に関係しています。肥満になると、尿酸の排泄が低下したり、肥満を引き起こす過食や運動不足がプリン体の産生を促すため、尿酸値が上昇しやすくなります。また、体内に内臓脂肪が蓄積されると、脂肪細胞から分泌されるさまざまな悪い物質が血圧や血糖値を上げ、痛風に合併しやすい高血圧症や糖尿病などを誘因します。
尿酸の原料となるプリン体は、ATPというエネルギーの発生源となる物質にも含まれていますが、筋肉を酷使したり、全力で走り回るような激しい無酸素運動によってこのATPが急激に分解されると尿酸値が上昇します。また、激しい無酸素運動により疲労物質である乳酸が体内に溜まると、尿酸の排泄機能が低下します。このため、プロのスポーツ選手などには痛風の発作を起こす人が多くみられます。
遺伝の影響が強い疾患で、縁者に痛風の人がいる場合は注意が必要です。痛風の発症と性格は密接な関係があり、積極的、活動的、指導力がある、自己主張が強い、他人に対して攻撃的などの性格をもち、つねにストレスを抱えている人が痛風になりやすいといわれています。健康診断などで高尿酸血症を指摘された場合も注意が必要です。
高尿酸血症は自覚症状がほとんどないため、知らないうちに進行し、ある日突然痛風の発作が起こります。しかし誰でもいきなり痛風になるわけではありません。尿酸の排泄が滞り尿酸が過剰な状態が、痛風予備軍といわれる高尿酸血症です。痛風発作のほとんどは高尿酸血症の人に起こります。健康診断で尿酸値が高めの人や肥満と診断された人は、痛風になりやすいので要注意です。また、糖尿病や脂質異常症、高血圧症なども痛風の危険因子となります。
初めての発作は、6~7割の人が足の親指のつけ根の関節に起こります。発作は夜明け前や早朝に突然起こることが多く、痛みは24時間以内にピークに達し、患部は熱を持って赤く腫れます。発作のときの痛みは一カ所の関節だけで、2週間くらいで治まりますが、放置しておくと多くの場合、最初の発作から1~2年後に再発します。尿酸値が7.0mg/dl以上になると高尿酸血症と診断されます。
高尿酸血症を放置しておくと、尿酸が増え続け、体のあちらこちらに尿酸の結晶が溜まってコブができます。これが痛風結節で、手足の関節付近や耳たぶなど比較的体温の低い部位にあらわれます。結節部に痛みは起こりませんが、関節が変形して自由に動かなくなることがあります。
腎臓でつくられた尿は尿管、膀胱、尿道からなる尿路を通って排泄されます。尿の中の尿酸が多くなりすぎると結晶化して、尿路に結石ができてしまうことがあり、痛風患者の10~30%にみられます。腹部の左右どちらかに起こる激しい腹痛と血尿が特徴で、腰や背中が痛むこともあります。
血液中の尿酸は腎臓を通じて尿中に排泄されますが、尿中の尿酸が増え、結晶化して腎臓に溜まると、腎臓の機能が低下します。異常なのどの渇きや、頻尿などの症状があらわれることがあり、進行すると腎臓の機能が失われる腎不全を起こし、命にかかわる場合があります。糖尿病や高血圧症などを併発していると、腎障害が促進され、また、腎障害によって高血圧症や動脈硬化、心臓や脳の血管障害を起こすことがあります。
ストレスは痛風の大敵です。真面目で、何事も深刻に受け止める人ほどストレスを溜めやすいので、できるだけ肩の力を抜き、楽天的な考え方をしましょう。また、散歩や軽いスポーツ、旅行、音楽鑑賞、ガーデニング、友人と愚痴をこぼし合うなど、自分に合ったストレス解消法を生活に取り入れ、ストレスを溜めないようにすることが大切です。
肥満の人は体重を減らすと尿酸値も下がります。摂取カロリーを1日1600~1800kcalに抑え、栄養バランスのとれた食事を規則正しくとることが大切です。また、早食いは食べすぎになりやすいので、食事に30分以上かけると、食べすぎを防ぐことができます。食事制限と適度な運動を続け、1カ月に1~2キロ程度の減量を目指しましょう。
レバー類やイワシ、アジなどの背青魚、白子、カツオブシなどプリン体を多く含む食品を食べすぎないようにしましょう。鍋物やすき焼きの煮汁などにはプリン体が溶け出しているので要注意です。アルコールは尿酸の排泄を低下させたり、尿酸を増やす作用があり、とくにビールはワインの14倍、日本酒の4.5倍ものプリン体を含みますので、控えましょう。また、尿酸値の高めの人は高血圧を合併しやすいので、すでに尿酸値が高い人は塩分を1日8g以下に抑えましょう。
軽い有酸素運動には、減量効果とともに尿酸値を下げる効果があるといわれています。ウォーキングやサイクリング、ジョギング、エアロビクス、水泳など、1人でもできて無理なく続けられる運動を選びましょう。また、汗をたくさんかくと体内の水分が失われ、血中の尿酸値が上昇します。激しい運動を避けるとともに、汗をかいたら水分をこまめに補給することが大切です。
尿酸値が7.0mg/dl以上になると高尿酸血症と診断され、8.0mg/dlを超えると痛風発作の危険が高まります。自覚症状がほとんどあらわれない無症候高尿酸血症が近年急増していますので、痛風を予防するためには、健康診断や人間ドックなどで定期的に血中の尿酸値を検査し、高尿酸血症を早期に発見することが大切です。
痛風発作が起きたときは、炎症を抑えるために、患部を冷却湿布薬や水・氷などで冷やして安静にしましょう。患部を心臓より高い位置に上げて冷やすと効果的です。痛みや腫れが強くあらわれている間は、仕事を休み安静にしていることが一番です。そしてなるべく早く医師の診察を受けましょう。
水分を十分にとり尿の量を増やすと、尿とともに体外に排泄される尿酸の量が増えます。また、腎臓内に尿酸が溜まるのを防ぐこともできますので、高尿酸血症や痛風の発作を起こしたことのある人は、1日最低1.5リットルは水分をとるように心がけましょう。水分補給は水かお茶にし、砂糖入りのコーヒーや紅茶、アルコール、ジュースなどは避けましょう。
血中尿酸値が高いと血中から尿中に排泄される尿酸が増え、尿中の過剰な尿酸は、尿が酸性になっていると結晶化し、尿管結石の原因になります。尿をアルカリ性にするために野菜を積極的にとり入れるよう心がけましょう。
痛風が疑われる場合は、ただちに専門医を受診しましょう。最近、大きな病院では痛風・膠原病・リウマチ科や内分泌代謝科などを設け、痛風の専門医が治療にあたっているところが増えています。専門の病院がわからないときや近くにないときは、内科を受診しましょう。
摂取エネルギーが消費エネルギーを上回り、体脂肪が過剰になる状態が肥満です。内臓肥満を原因とするメタボリックシンドロームという考え方が広く浸透してから、肥満が注目されるようになりました。体脂肪の蓄積の度合いを判定するBMI(体重(kg)÷身長(m)2)で評価するのが一般的で、25以上が肥満と判定されます。
忙しく、仕事に追われる毎日は食生活が乱れがちです。朝食を抜く、外食、遅い夜食、まとめ食いなど、こんな脂質や糖分のとりすぎや不規則な食生活が続くと、摂取したエネルギーが消費エネルギーを上回り、貯蔵用として蓄積されます。これは食事が少なかったり、激しい運動などでエネルギーが不足したときに備えて蓄えられるのです。
インターネットや車が多く使われるようになると、体を動かすために使うエネルギーが少なくなります。そのため摂取エネルギーが消費エネルギーを上回って、肥満につながります。
全身のいたるところに蓄積するのが「体脂肪」です。内臓脂肪に比べて軽視されがちですが、この「体脂肪」も過剰になると、糖尿病や高血圧症、脂質異常症など生活習慣病のリスクを高めます。体脂肪の蓄積の度合いは、BMIで評価します。標準は18.5~25未満で、25以上は肥満と判定されます。
腹部から上に脂肪が溜まり、その体型から「リンゴ型肥満」とも呼ばれる上半身肥満は、生活習慣病のリスクが高くなります。腹囲を計って男性は85cm、女性は90cm以上が上半身肥満と判定されます。また、腰から下の下半身に脂肪が溜まる「洋ナシ型肥満」は中高年の女性に多く、生活習慣病のリスクは少ないとされています。
上半身肥満は、主に皮膚の下に脂肪が溜まる「皮下脂肪」と胃や腸など内臓の周りに脂肪が溜まる「内臓脂肪」に分けられます。このうち、内臓脂肪のほうが生活習慣病のリスクを高めると問題視されています。腹部をCTで検査し、脂肪が100c?以上溜まっていると内臓肥満と判定されます。見た目やBMIの数値だけでは判断できないことも多いので、かくれ肥満とも呼ばれています。
肥満には、疾患などを原因とするものがあります。代表的なものは、内分泌疾患(甲状腺機能低下症など)によるもの、遺伝(プラダー・ウィリー症候群など)によるものです。また、治療中の薬剤の副作用として、たとえばステロイド剤、精神病薬などによっても肥満が引き起こされることがあります。
肥満は、高血圧や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病を引き起こす原因となります。これら生活習慣病に引き続き、動脈の壁が厚くなって血液がスムーズに流れなくなる動脈硬化が進むと、心筋梗塞や狭心症などのリスクを高めます。生活習慣病が複数重なるようになると、そのリスクがより高まります。
メタボリックシンドロームは、動脈硬化による脳梗塞、狭心症、心筋梗塞のリスクが非常に高い状態です。また、生活習慣病のリスクを高める大きな要因にもなります。メタボリックシンドロームは、上半身肥満(とくに内臓肥満)という危険因子があり、さらに血糖値や血中脂質値、血圧値の下記の異常が一つでもあればメタボリックシンドローム予備群、2つ以上あるとメタボリックシンドロームと診断されます。上半身肥満は、メタボ診断では腹囲を基準にしています。腹囲はへその高さで計り、男性は85cm、女性は90cm以上が上半身肥満と判定されます。また、喫煙も危険因子の一つです。
●空腹時血糖値が110mg/dl以上
●中性脂肪が150mg/dl以上
またはHDL(善玉)コレステロールが40mg/dl未満
●収縮期血圧(最高)が130mmHg以上
または拡張期血圧(最低)が85mmHg以上
「ストレス食い」という現象があるように、ストレスは食べすぎの大きな原因になります。気分転換や質の良い睡眠を心がけて、なるべくストレスを解消していきましょう。また、食事以外のストレス解消方法を見つけることも大切です。没頭できる趣味を作りましょう。
まず、食べすぎないように気をつけましょう。食べすぎでなくとも、テレビや新聞を見ながら食事をしたり、早食い、まとめ食い、夜食、朝食を抜くなどは肥満になりやすい原因といわれています。間食や甘いものを控え、1日3食規則正しい時間に食事をとるようにしましょう。また、肥満を予防、解消するには日々の食事を見直すことが一番です。丼ものなどの単品メニューは避けて、野菜や魚、海草類、豆類をバランス良くとりましょう。
アルコールというと、それ自体よりも一緒にとるおつまみのほうが問題視されがちですが、アルコール自体も高カロリーです。さらに、アルコールは肝臓内で脂肪がつきやすく、脂肪肝の原因になります。タバコは、直接肥満の原因にはなりませんが、タバコに含まれる有害物質が血管自体を傷つけ、脳梗塞や心筋梗塞などの動脈硬化性疾患を招きます。アルコールとタバコを控えましょう。
脂肪を燃やし、持久力をつけるウォーキングや水泳などの有酸素運動、全身の血行を良くするストレッチを毎日10分以上続ける習慣をつけましょう。運動習慣をつけることで、血液の循環や内臓を動かしたりするために使われる基礎代謝が上昇し、脂肪がつきにくい体になります。
現在では、40~74歳の人を対象に、メタボリック健診が義務化されています。通常の健診の項目に、腹囲の測定が加わります。メタボリックシンドロームか、その予備軍と判定されると、保健師や管理栄養士から、食事や運動の指導を受けることになります。メタボ対策の目標は、体重3kg減、ウエスト3cm減です。
肥満の解消には、なんといっても運動が不可欠です。運動の中でも、普段の生活の中でできるウォーキングがおすすめです。ウォーキングをするときは、背筋をまっすぐに膝を伸ばして歩くと脂肪を燃やす効果が高まります。目標は1日1万歩ですが、10分のウォーキングを3回、合計30分の運動でも十分に内臓肥満を減らす効果がありますので、最初から1万歩歩こうと思わずに、少しずつ歩数を増やしていきましょう。
一般的な成人の摂取カロリーの目安は、だいたい1800kcal~2200kcal前後です。この数値を超えることがないように、カロリーを制限しましょう。ただし、摂取カロリーを下げようとして朝食を抜くのは逆効果。1食抜くと、その次に食べたものが脂肪として蓄えられやすくなります。また極端な食事制限でカロリーを減らしすぎると、基礎代謝が減ってリバウンドを起こしやすい体になる上、筋肉や骨が衰え、体重は減っても脂肪が落ちないので注意しましょう。
ウエイトコントロールで一番怖いのがリバウンド。このリバウンドを防ぐには、まずはコントロール成功後も運動を続けることが大切です。そして、目標体重に達した後も、毎日体重を計り続けましょう。さらに記録しておけばベストです。生活習慣病の予防には、減量した体重を維持することが大切なので、ちょっとでも体重が増えていたら3日以内に調整するようにしましょう。
肥満はメタボリックシンドロームや生活習慣病などの原因になります。BMIや腹囲で肥満と判定されたときや、血液検査値で2つ以上異常があるようなときは、まずは近くの医療機関で診察を受けましょう。
自律神経は、循環器、消化器、呼吸器などの活動を調整するために、24時間働き続けている神経です。体の活動時や昼間に活発になる交感神経と、安静時や夜に活発になる副交感神経があります。その2つのバランスをそこなうのが「自律神経の乱れ」です。不規則な生活やストレスによって自律神経の働きが乱れると、体の器官にさまざまな不調が現われます。
人間関係、仕事のプレッシャーなどの悩みや不安による精神的なストレス、過労、事故、怪我、さらには音、光、温度なども身体的なストレスとなって自律神経の乱れの主な原因になります。そのストレスが過剰になると、交感神経と副交感神経のバランス、つまり自律神経のバランスが乱れます。
私たちの体は一定の生体リズムに従って働いています。慢性的な寝不足や昼夜逆転、不規則な食生活など不摂生を続けていると、生体リズムが狂って自律神経のバランスを乱す原因になります。
自律神経失調症や更年期障害が自律神経の乱れを引き起こす代表的な疾患です。自律神経失調症は、過剰な精神的、身体的ストレスが引き金となって自律神経が乱れることで発症し、その症状としてさらに自律神経が乱れるという悪循環に陥ります。更年期障害では、女性ホルモンの分泌が急激に減ることで自律神経が乱れ、突然のほてりやのぼせ、頭痛、めまいなどさまざまな不調があらわれます。
精神的なストレスや過労が引き金となって自律神経が乱れ、心や体に不調があらわれた状態です。不安や緊張、抑うつなどの心のトラブルにより、吐き気をはじめ多汗、全身の倦怠感、頭痛、肩こり、手足のしびれ、動悸、不整脈、めまい、不眠などの症状があらわれます。あらわれる症状は人によって大きく違うのが特徴です。
仕事などによる精神的なストレスや過労が原因となる胃炎です。ストレスや生活習慣の乱れなどから、自律神経がバランスを崩して胃酸が過剰に分泌され、気分がふさぐ、のどがつかえる、胸やけがする、胃が痛む、胃がもたれるなどの胃炎の症状を引き起こします。
腸のぜん動運動に異常が起こり、腹痛をともなう慢性的な下痢や便秘などを引き起こします。ときに下痢と便秘が交互に起こることもあります。何週間も下痢が続いたり、一時的に治まり、その後再発するという現象を繰り返すこともあります。検査で調べても、目に見える異常が認められないのが特徴です。
ストレスなどが原因で内耳のリンパ液に異常が生じます。自分や周囲がぐるぐる回るめまいと、どちらか一方の耳にだけ起きる耳鳴り、そして難聴の3つが同時に起き、多くの場合、強い吐き気や嘔吐をともないます。危険な疾患ではありませんが、放置すると耳鳴り・難聴が進行します。
過剰な精神的ストレスが引き金となって、突然浅く速い呼吸を繰り返す疾患です。動悸や酸欠状態のような息苦しさを感じます。さらに呼吸のしすぎによって血液中の二酸化炭素が過度に減少することで、めまい、手足のしびれや筋肉のこわばりなどが生じます。息苦しさから呼吸をしようとして、さらに呼吸のスピードが速まる悪循環に陥ることもあります。
会社、家庭、学校などにおける人間関係による逃れられないストレスとも、うまくつきあっていくことが大切です。気長に考える、前向きに考える、楽観的にとらえる、自分に自信を持つなど、気持ちをコントロールしてストレスに強くなりましょう。問題を一人で抱え込んでしまわず、誰かに相談するなどの上手な解消法を身に付けることも大切です。
心地の良い音楽を聴くと、リラックス状態が得られます。また、ぬるめのお湯にゆったりと時間をかけてつかることや、アロマセラピーを取り入れることなど、自分なりのリラックス法を見つけるようにしましょう。また、肩や腕にぎゅっと力を入れた後、フッと体の力を抜くようにすると、心身ともにリラックスする効果があります。仕事の合間に試してみましょう。
スポーツは、運動不足の解消はもちろん、汗を流すことで気分がすっきりして倦怠感がなくなり、精神的な充実感も得られます。また、定期的に運動を行うことで生活のリズムも作れます。ウォーキングなどマイペースでできる運動を無理のない範囲で始めて、運動習慣を身につけましょう。
カルシウムには、神経の働きの緊張を鎮め、精神的なイライラを抑える効果があります。カルシウムは、牛乳、チーズ、ヨーグルトなどの乳製品、めざしや干しえび、わかさぎなどの小魚、小松菜、ほうれん草、チンゲン菜などの野菜に多く含まれていますので、積極的に食べるようにするといいでしょう。
仕事が一段落したときにブレイクタイムをとり、仕事場から離れて外の空気に触れるなどリフレッシュするようにしましょう。また、1日の終わりにはリラックスタイムを作り心身の回復を、そして1週間の終わりの休日には仕事を忘れて休息するようにしましょう。
ストレスを抱え込んで心の疲労を招かないようにすることが大切です。ものごとを否定的に捉えず、立ち止まっていままでの考え方を見直したり、気分転換などでリフレッシュすると効果があります。
「きっとやれる」と自己暗示をかける、つらいことも必ず時間が解決してくれることを忘れない、嫌なことを引きずらないなど、心の持ち方を変えてみましょう。そして、焦りを捨てて、完璧さを求めずマイペースでもっとゆったりした気持ちで物事に対処する方法を身につけるようにしましょう。
原因不明の体調不良が続くときは、早めに病院へ行きましょう。頭痛や食欲不振に悩んでいる人は一般内科へ、耳鳴りがする場合は耳鼻科、肩こりがひどい場合は整形外科など、症状に合わせた診療科を受診しましょう。症状の裏に重大な病気が隠れている場合がありますので、くれぐれも自己診断は控えましょう。