医薬品の投与開始直後からときには5分以内、通常30分以内に症状があらわれます。注射薬では症状発現が特に早く、内服薬ではやや遅れる傾向があります。過去に複数回、安全に使用できた医薬品でも、アナフィラキシーを発現することがありますが、初回投与時に生じることもあります。アナフィラキシーの症状には、皮膚の赤み、じんま疹、皮膚のかゆみなどの皮膚症状、のどのかゆみなどの粘膜症状、腹痛、吐き気などの消化器症状や、くしゃみ、咳、声のかすれ、息苦しさなどの呼吸器症状があり、顔面蒼白、意識障害などのショック症状が出現してくることもあります。これらの症状がみられ医薬品を使用している場合には、すみやかに最寄りの医療機関を受診してください。息苦しさなどの呼吸器症状や顔色が悪いなどのショック症状がある場合は、一刻も早く治療しなければなりません。医療機関の外にいる場合には救急車を呼ぶことが大切です。
一般的な平熱の体温(35℃~37℃未満)が、発熱によって37.0~38.0℃になった状態を微熱、38℃以上を高熱と言います。37℃台の微熱は風邪のときによくみられる症状ですが、何日も熱が下がらず微熱が続くようなときには風邪以外の疾患が隠れている場合があります。なお、考えられる原因はさまざまで、ここで紹介しているものはごく一部です。心配な場合には必ず医療機関を受診してください。
女性の場合、排卵から生理がくるまでの約14日間は、女性ホルモンの作用によって0.5~0.7℃くらい、基礎体温が高くなる傾向があります。また、体質によって37℃程度と高い平熱を示す人もいます。
抗生物質や、炎症を抑え、癌や白血病などの薬としても使われている副腎皮質(ふくじんひしつ)ホルモン剤の副作用によって微熱が出ることがあります。
風邪の他、肺結核、慢性副鼻腔炎、慢性扁桃(へんとう)腺炎などの慢性的な上気道炎、胆嚢(たんのう)炎、慢性膀胱炎、慢性腎盂腎炎など、さまざまな病気が微熱を引き起こします。また、虫垂炎(盲腸炎)や尿路結石、貧血でも症状の一つとして微熱が続くことがあります。神経症などの精神的な疾患によっても微熱が出ることがあります。
風邪はウイルスの感染によって、鼻やのどに急性の炎症を起こす病気です。鼻水やくしゃみ、のどの痛みからはじまり、発熱や頭痛、寒気、全身のだるさを感じます。39~40℃近い急な高熱や全身の関節痛、激しい頭痛をともなう場合は、インフルエンザの可能性があります。
結核菌という細菌に肺が感染して起こります。せき、たんや肉眼では確認できない微量の血が混じったたん、微熱などの症状が2週間以上続きます。結核菌は、せきなどによって感染が広がる可能性がありますが、初期症状が軽いため、感染に気付かないこともあります。感染者数は一時減少したものの、最近では療養施設等でのお年寄りの集団感染や、新しい結核菌の登場によって再び増加しています。
腸内の大腸菌などが胆嚢に入り、胆嚢の粘膜に繰り返し炎症を起こした状態です。みぞおちから右側の上腹部にかけて不快感をともなう痛みを感じるとともに、38℃近い微熱が続き、吐き気、嘔吐などの症状もあらわれることがあります。もともと胆石をもっている人がかかりやすく、暴飲暴食や、脂肪分の多い食事をとった場合に再発しやすくなります。
盲腸の先についている虫垂に炎症が起こる病気で、盲腸炎とも呼ばれます。突然急激な腹痛が起こると同時に、37~37.5℃くらいの微熱が続き、吐き気や嘔吐をともないます。腹痛は、最初からへその右斜め下辺りが痛む場合と、みぞおちから徐々に右下腹部へと痛みが移動していく場合があります。
慢性副鼻腔炎は、ウイルスや細菌による感染が繰り返されると、副鼻腔という鼻の周囲の空洞に膿が溜まります。蓄膿症とも呼ばれ、粘り気を帯びた鼻水が出て、頭痛や微熱、集中力の低下などの症状がみられます。慢性扁桃腺炎は、扁桃腺炎を繰り返すうちに慢性化する場合が多く、急性ほどの高熱に至らない微熱が続き、のどの不快感やツバを飲み込む時の異物感、体の倦怠感などの症状があらわれます。
膀胱内に細菌が侵入して炎症を起こすのが膀胱炎です。膀胱炎は非常に再発しやすく、慢性化することが多くあります。トイレが近くなり、排尿時の痛み、尿のにごりや血尿など急性膀胱炎と同じ症状があらわれます。さらに、微熱、尿が溜まったときの膀胱の痛みに悩まされることも少なくありません。
腎臓の中にある、尿を溜める腎盂が細菌の感染を繰り返すと慢性化します。急性では悪寒をともなう高熱が出ますが、慢性化すると微熱が続くようになり、尿の濁りや血尿、背中から腰にかけての痛みや吐き気、嘔吐が起こります。さらに進行すると腎臓の機能が徐々に低下し、腎不全に陥ることもあります。腎盂腎炎の主な原因は、下半身の冷えによるもので、この悩みを抱える女性に多くみられる病気です。
尿の通り道に結石ができ、排尿に障害をもたらす疾患で、20代~40代の男性に多くみられます。排尿時に七転八倒するほどの激しい痛みを腰や下腹部に感じるとともに、血尿が出たり、微熱、吐き気や嘔吐をともなうこともあります。
脇の下や首の周り、足の付け根など脈がふれる場所を、氷枕などで冷やすと微熱のつらさが緩和されます。また、ぬるま湯を浸して絞ったタオルで全身を拭くと、ほてりによる不快感の解消になります。
10日以上続くような微熱は、がんなど重大な疾患が隠されていることもありますので、必ず医師の診察を受けましょう。なお、病院へ行くときは、いつから、どのくらいの熱がでて、どう続いているか、微熱以外で感じている体の症状を説明できるようにしておきましょう。
一般的に、平熱(35℃~37℃未満)より高くなった状態を発熱といい、微熱(37.0~38.0℃)、高熱(38℃以上)といっています。高熱が出たときはウイルスや細菌による急性の感染が疑われます。なお、考えられる原因はさまざまで、ここで紹介しているものはごく一部です。心配な場合には必ず医療機関を受診してください。
ウイルスや細菌などの病原体が体内に侵入すると、病原体の持つ毒素が体温の上昇を引き起こします。さらに、これに対応して病原体を排除しようと免疫活動を活性化することで、高熱が起こります。
細菌やウイルスなどの病原体をはじめ、やけどや放射線などの物理的な刺激、薬物などの化学的な刺激、アレルギー反応などによって有害な刺激を受けたときに、体の防御反応として炎症が起こります。発疹や熱感、腫れ、痛みなどが起こりますが、全身症状として発熱が起こります。そして炎症部分に原因菌が増殖して、化膿性の炎症を起こして膿が溜まると、さらに高熱が出ることがあります。
細菌やウイルスへの感染が原因となるインフルエンザ、おたふくかぜ、扁桃炎、咽頭炎、肺炎、食中毒、急性腎盂腎炎、急性胆嚢(たんのう)炎、急性胆管炎、急性肝炎、腹膜炎、脳炎、髄膜炎などさまざまな疾患が高熱を引き起こします。痔ろうの初期症状でもある肛門周囲膿瘍も高熱の原因になります。
インフルエンザウイルスの感染によって起こります。急速に39℃前後の高熱が出るとともに、筋肉痛や関節痛、倦怠感、頭痛、食欲不振などの全身症状と、鼻水、くしゃみ、のどの痛みなどの風邪症状があらわれます。発熱はときに40℃以上にもなることがあります。
ムンプスウイルスによって耳の痛みから始まり、高熱、食欲不振、頭痛、嘔吐などがあらわれます。耳の付け根にある唾液腺が炎症し、腫れあがります。まれに難聴や脳炎などを併発することがあるので注意が必要です。大部分は15歳以下の小児がかかり、季節的には春から夏に多くみられます。
直腸から肛門の周囲の粘膜に傷がつき、大腸菌などの細菌が肛門周辺に侵入し、化膿して膿が溜まります。膿は自然に皮膚をやぶって外に流れだします。痔ろうの初期段階です。肛門の周囲にしこりや腫れがあらわれ、同時に肛門周囲の灼熱感や激しい痛みを感じます。また高熱や寒気、吐き気などの症状をともない、ときには40℃以上の高熱になることもあります。
ウイルスや細菌が肺に侵入し、炎症を起こします。風邪をこじらせたり放置したりしていることが原因の一つです。のどが痛くないのにせきやたんが出たり、高熱が1週間以上続きます。また、呼吸が苦しくなることもあります。体力が落ちている人や、免疫力の弱いお年寄りに二次感染症として多くみられます。
乳腺に炎症が起こる疾患です。授乳期では、乳腺内に溜まった乳汁に細菌が感染し発病します。授乳期以外では、主に乳腺から出た乳汁の通り道である乳管が拡張し、そこに細菌が感染して炎症を起こすことが原因になります。乳腺が腫れて、乳房全体や脇の下のリンパ腺が大きく腫れて痛み、高熱が出ます。
腎盂や腎そのものが細菌に感染して起こります。悪寒や高熱とともに、尿の濁りや血尿がみられる他、背中から腰にかけての痛みや吐き気、嘔吐などが現われることもあります。排尿時の痛みや尿の回数が増えることもあります。主な原因は下半身の冷えによるもので、この悩みを抱える女性に多くみられる疾患です。
胆嚢や胆管が、細菌に感染して起こります。二つが合併して発病することが多く、まとめて胆道炎と呼ばれることもあります。上腹部の痛みに高熱、吐き気をともないます。化膿した胆嚢が破れて、腹膜炎を起こすと、腹部全体に激しい痛みがあらわれます。
肝炎の原因にはウイルス、薬剤、アルコールなどがありますが、多くはウイルスによるものです。A型、B型急性肝炎の感染初期には風邪に似た症状が出ます。その後高熱、頭痛、倦怠感などの全身症状や腹痛、下痢、吐き気などの消化器の症状があらわれます。このような症状が1週間程度続いた後、黄疸があらわれ目の結膜や顔の皮膚が黄色くなります。
内臓を包んでいる腹膜が細菌に感染して炎症が起きる疾患です。急性虫垂炎や胃・十二指腸潰瘍、胃がんなどで胃や腸に穴が開いたり、腸閉塞によって組織が部分的に死滅する壊死などが原因となります。代表的な症状は腹痛ですが、その他に高熱、吐き気、嘔吐、呼吸障害などがあります。適切な処置を行わないと、生命に関わる場合もあります。
高熱の主な原因は、細菌やウイルスによる感染症です。感染症の予防には家に帰ったらうがい、手洗いをする習慣をつけることや、入浴で全身をしっかり洗って病原体を寄せ付けないことが大切です。また、栄養バランスの良い食事をとり、睡眠を十分にとることで体の抵抗力を高めることも効果的です。
暑いと感じたら布団を少なめにし、寒いときは厚着をするなど体温の調節をはかりましょう。また、高熱が出たときには脱水を起こしやすいので、こまめに水分をとるようにしましょう。
脇の下や首の周り、足の付け根など脈がふれる場所を、氷枕などで冷やすと体温を下げる効果があります。また、ぬるま湯を浸して絞ったタオルで全身を拭くのも効果的です。
高熱が出たときは、できるだけ早く医師の診察を受けましょう。なお、病院へ行くときは、初期の熱の出方や症状が診断の重要な情報になりますから、いつから、どのくらいの熱がでて、どう続いているか、また熱以外にどのような症状が出ているかを説明できるようにしておきましょう。
高い気温や湿度、強い日差しやアスファルトの照り返しが、熱中症を引き起こす原因になることがあります。このような環境では、体の外に熱を発散しづらく、体内に熱が溜まって熱中症を引き起こすことになります。とくに子どもやお年寄りは、体温調節機能が低下しているので熱中症を起こしやすいのです。
高温下で運動や激しい動きをともなう労働などによって体内に熱が溜まると、熱中症を起こすことがあります。十分な水分補給をせずに激しい運動をすると、脱水状態を起こして汗も出なくなり、体温の調節がうまくできなくなります。そのため、体温が上昇して熱中症を引き起こします。
大量の汗によって血液の量が減少するため、脳への血流が不十分になり、めまいや立ちくらみを起こします。症状としては大量の発汗、立ちくらみに加え、顔面蒼白や呼吸回数の増加、唇のしびれ、筋肉痛やこむら返りなどがみられます。この段階は、現場での応急処置で対応できる軽症です。
この段階では、ズキンズキンとする激しい頭痛、吐き気、嘔吐、体のだるさ、体に力が入らないといった自覚症状があらわれてきます。こうした症状がみられる場合には、すぐに病院で治療を受けるようにしましょう。
この段階では、急激な体温上昇によって、ときには41℃を超えることもあります。呼びかけや刺激への反応がおかしい、意識がないといった意識障害や、体にガクガクとひきつけやけいれんを起こす、真っ直ぐに歩けないといった運動障害がみられます。救命のために緊急入院して集中治療を行う必要があります。
日差しが強い日の外出は、帽子をかぶったり日傘をさしたりして直射日光を避けるようにしましょう。日陰を選んで歩くだけでも随分と違います。また、暑い日の屋外スポーツは、なるべく涼しい時間帯に行うようにすると同時に、15~20分ごとに休憩をとって体の熱を冷ましましょう。
脱水症状を起こさせないためには、こまめな水分補給が重要になります。運動前には250~500mlを数回に分けて、運動中は約20分ごとに1口から200mlほどの量を飲むようにしましょう。また水分補給には、発汗によって失われた塩分を補うことのできるスポーツドリンクがおすすめです。アルコールは尿の量を増やし、体内の水分を排出してしまうため、水分補給には適していません。
熱中症は、体が気温の変化に慣れていないと起こりやすくなります。日頃から運動で汗をかく習慣を身に付けておけば、暑さにも対応しやすくなり、熱中症にもかかりにくくなります。発汗量の少ない季節から早めにウォーキングなどで暑さに備えた体づくりをしておきましょう。
暑い日には、体温調節ができる服装を選んで出掛けるようにしましょう。吸湿性や通気性の良い素材や、室内・外の気温に合わせて脱ぎ着がしやすいデザインのものが理想的です。色合いは熱を吸収しやすい黒色系を避け、白色系のものを選ぶと良いでしょう。また、スーツなどの首回りをネクタイや襟で締める服の場合は、襟元をなるべくゆるめて、熱気がこもらないようにしましょう。
急に気温が上がった日は、熱中症を起こしやすくなります。暑さへの耐性は個人差がありますが、中でも暑さに慣れていない人、体調がすぐれない人、脱水気味の人、運動習慣がない人、子どもやお年寄りなど体力がない人、肥満体型の人などは熱中症を起こしやすくなりますので、運動を控えるようにしましょう。
熱中症は重症度によって処置の仕方が異なります。自力で動けるような比較的軽症度( I 度)であれば、すぐに涼しい場所へ移り体を冷やし、水分を補給することが大切になります。この際、誰かが付き添って見守り、改善しない場合や悪化する場合は病院での治療が必要になります。自ら水分と塩分をとれないときや意識障害やけいれん、手足に運動障害がみられる場合( II ~ III 度)には、すぐに病院へ搬送しましょう。
(重症度 I 度):涼しい場所で、水分を補給する
熱中症で具合が悪くなったら、とにかく体温を下げることが大切です。風通しの良い日陰やクーラーが効いている室内などへ移動し、すぐに体を冷やします。氷や冷たいおしぼりなどで脇の下や足のつけ根、首を冷やします。また冷たい水やお茶、スポーツドリンクを飲んで脱水状態と塩分バランスの改善も必要です。
(重症度 II ~ III 度):病院で診察を受ける
激しい頭痛、吐き気、体のだるさ、体に力が入らないといった症状があるようなら、内科で診察を受けましょう。また、自力で水分の摂取ができないときや、呼びかけに対する反応がおかしかったり、けいれんを起こしたりしているような場合にはすぐに医療機関へ搬送する必要があります。また、救急隊が到着するまでの間にも、できるだけ体の冷却を行うようにしましょう。